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以前にフェイク(偽造)商品について書いてから時間が経過しましたが、状況は変わらないどころか、悪い方向に動きつつあります。これまでと同じく販売時の写真盗用やデザインの盗用だけでなく、ブランド名の詐称やラバーファッションの場合ですと使用される生地のフェイクまで出て来るようになりました。ファッション用ラバー生地は、Radical Rubber社、4D Rubber社、Sheet Latex社がその多くを占めているのですが、その社名ブランド名を騙り、デザインの盗用だけでなく粗悪な品質の生地で作られた物が出回るようになってきました。
こちらのコラムで触れたように他のファッション用生地とは異なる生地の為、素材そのものの匂い(香り)も明らかにことなり、粗悪なものはタイヤのような明らかにケミカルな添加物を意識させるものまであります。筆者は直接経験はしていないものの、何らかのアレルギー反応など健康被害すらも考えられる状況となっています。勿論、縫製などにも問題があり、まさに品質劣化コピーと断ぜざるを得ない商品が出回っているのです。
このフェイクを助長しているのがドロップシッピングやオークションであると考えられています。ドロップシッピングは販売者と製造者(また発送元)が異なる点が問題で、故意であるかどうかは別として、そのフェイクを販売する業者が簡単に増えてしまうという難しい問題があり、さらにオークションはこれに加え販売者が企業ではなく個人であることも多く、いわゆる「売り逃げ」が可能である点も問題となります。
フェイクが製造されているのは、そのほぼ全てが中国であるとされており、自動車や電子機器などのフェイク問題と同じ構造となっていますが、前述したドロップシッピングやオークションでその多くが現在のところ販売の中心であること、そして市場規模が異なっています。確かに市場規模としては自動車などと比べるべくもないほど小さい市場でしょう。ですが、その小さな市場にすら、このようなフェイクが生まれ、そして販売されてしまうことに非常な危機感を覚えます。
ファッションデザイナーがこの危機に対し座して静観しているかというとそうでもなく、Libidexがフェイク商品への注意喚起を促したり、フェイク業者を名指しした上で不買するように消費者に求める運動を始めています。またeBayでは、画像登用によるフェイク販売者を追放したり、商品の削除を迅速に行うようになったりと、徐々にフェイクを販売させない方向に動き出してきました。
では日本ではどうかというと、某巨大オークションサイトでは明らかにフェイクの商品が堂々と販売されており、またフェイク商品を販売しようとしている独立したショップサイトすらも見られます。現在日本ではフェティッシュファッション、特にラバーファッションを扱うショップが非常に数少ないという現状もあり、フェイク商品が蔓延する素地が整ってしまっているように思われます。
安く、パッと見だけで良いように見えても、健康被害を受ける可能性があり、さらにはそのオリジナルデザインを考案したデザイナーやブランドも苦しめるだけのフェイク商品。それとは知らずに買ってしまうこともあるかもしれません。それを避けるために、これからもフェイク商品動向についてはFetish-Style.infoでは触れていく予定ですので、ご覧いただければ幸いです。
最後にフェイク商品についての記事をご紹介します。全て英語となっていますが、一読の価値ありです。
Latex copycats: time these pirates walked the plank (The Fetishintas)
http://knockoffknockdown.tumblr.com/